うつ病休職から早く復帰する方法【実は急がば回れ】

うつ病で休職したけど、何していいか分からない。
なるべく早く復職するにはどうしたらいいの?
という方に向けて、うつ病で2度の休職を経験した私が自分の体験を元におススメの過ごし方を解説します。
トータル5年間の休職期間を過ごした中で、すこしでも早く社会復帰するために「こうしておいてよかった」、「こうすればよかった」ということをまとめてご紹介します。
さらには、うつ病休養中における心構えについて解説します。
うつ病休職から早く復帰するポイントは、「焦らない」ということです。
早く復帰したいのに「焦らないってなに?」と思うかもしれませんが、動けるようになって無理して復帰して結局再休職なんて嫌ですよね?
再休職になってしまったら、復帰していた間も「やっぱり治っていなかった」とみなされてしまいます。
しっかり休んでばっちり直して再発を防ぎつつ復帰するには、やっぱりしっかり休むことが重要です。
この記事では、休職期間を3つの期間に分けて、それぞれの期間に応じた休み方を解説しています。これを読んで、じっくりカラダとココロを休ませましょう。(長いので、章ごとに分割して読んでも可です。)
Contents
うつ病休職中の過ごし方

うつ病休職中の過ごし方を2度の休職でトータル5年間休んだ私の体験をもとに解説します。
はじめにうつ病の治療には医師との連携は不可欠です。まずは信頼できる医師を探し、十分に相談しながら療養してください。
受診のポイントは気になったことはどんどん相談することです。
医師は24時間一緒にいるわけではないので、受け身の問診だけでは気づかれないこともたくさんあると思います。
体調の変化や感情の変化、気になることは客観的な視点でまとめて、どんどん相談した方がいいと思います。
診察時間が決まっているので一度にすべて質問することはできないと思いますが、それでももし患者の質問にネガティブな対応をされるような医師ならば、別の医師を探すことも考えた方がいいかもしれません。
さて、休職中の過ごし方を回復のタイミング別で解説していきます。すこしでも参考になれば幸いです。
身体がだるい、体調が悪い、ひたすら眠い

身体がだるい、体調が悪い、ひたすら眠い時期は、迷わず眠ってとにかく脳とカラダを休めるのが先決です。
休職に入るまでは、体調が悪くても気力がわかなくても頑張って無理やり仕事をしてきたと思います。
いまは頑張り過ぎてココロもカラダも非常に疲れている状態ですので、じっくり休んでください。
「ダラダラしていてはいけない」なんて思わずに、医師から休息が必要と判断されて休んでいるわけなので「休むことが仕事」です。
ただ寝ているだけだとついつい暇つぶしにスマホなどをいじりたくなるかもしれませんが、出来る限りスマホやPC、テレビなどの情報機器や新聞、本など脳に負担をかけるものは避けて、ゆっくり脳とカラダを休めるようにしてください。
うつ病はココロを司る脳の機能が低下している状態なので、脳の休息は必要不可欠です。
ここで腹をくくってきちんと休まないと長引く可能性もあるので、焦らずにじっくり休みましょう。
最優先にすべきことは脳を含めた身体を休めることです。心のストレスを解消することや復帰に向けてうつ病の対策を考えることなどはそのあとにすることです。
また、眠いけど眠れないという人もいると思います。
過度の緊張や神経の興奮でカラダは休みたいのに神経がそうさせてくれない状態です。そういう時は、自分なりのリラックスの方法を探してみることをおすすめします。
手軽な方法だと
- ストレッチ
- ヨガ
- 瞑想
- アロマ
- キャンドル
など・・・
ポイントは、自分がどれだけ緊張している、カラダに余計な力が入っているのかに気づくことです。
自分が緊張しているのかリラックスしているのかよく分からない場合は、まずは緊張状態を作り出してみてください。
床に寝て、ぎゅーっと手や足、全身に力を入れて、全身で小さくなります。そのあと大きく息を吐きながら(息を吸う時間よりゆっくり長く吐く)脱力して、「緊張→脱力」のサイクルを繰り返すとだんだんリラックスしている身体の状態がわかってくると思います。
仰向けに寝て背中が触れている床の感覚、床に支えてもらっている背中の感覚を感じるようにしてみてください。関節の曲がり具合、床に触れている部分の面積を観察します。そうするとカラダに力が入っているのがわかると思います。
それでもわからない場合は、床に腹ばいになって寝てみてください。首は横に向けて構いません。首や肩、腰回りに力が入っていませんか?力が入っていると身体や呼吸が苦しいはずです。
力が抜けていると床にべた―っと身体がくっつきます。
これは布団やベッドの上でやるのはおススメしません。下が柔らかすぎてカラダの状態がわかりにくいからです。床が冷たいようなら、ヨガマットや大きめのバスタオルなどをひいてやってみるといいかもしれません。
リラックスできた状態で、ゆっくり呼吸をしているとだんだん眠くなってくると思います。そのまま寝てしまってもいいように、毛布などをかけてやってみてもいいかもしれません。
私は、寒い時期はホットカーペットの上でやるのが好きです。
ほかのやり方としては、床の上に寝転んで頭のてっぺんから手足の指の先までくまなく意識を行き渡らせるボディスキャン(瞑想)があります。上で説明したものと似ていますが、カラダの緊張状態に気づける上に瞑想もできるのでおすすめです。
さらにはアロマオイルを使ったマッサージやサイファ・キネシオロジーでも提供している頭蓋骨調整などもおすすめです。
怠いけど、ちょっと動けるようになってきた

しばらく休養して、寝ているのに飽きてきたら少しづつ動き出す時期です。
このタイミングを見極めるのは本当に難しいですが、少しづつ動いてみて体調が悪くなるようだったらやめる、動いてみて動けそうならしばらく動いてみるという感じで様子を見ながら動き始めてください。
絶対に無理せず最初は5分~10分くらいの運動から始めるのがいいと思います。
けれども、長くカラダを動かさなかった人は少しカラダがだるくても動いてみることが必要かもしれません。
動き続けて体調が悪くならないようならちょっとだけ頑張って動いてみてください。ある程度動くと元々あっただるさが消えていくことがあります。
今まで動かなかったことで全身の血流が悪くなり、脳やカラダの疲れが取れてもカラダのだるさが続いてしまうことがあるからです。
最初のうちは、長く寝ていて体力が低下した為に動き出してもすぐに疲れてしまうと思います。でもあきらめずに「疲れたら休む」を日々繰り返して、すこしづつ動く量や時間を増やしていってください。
ポイントは、
- 怠くてもとにかく動いてみること
- 怠さがつづいても体調が悪化しなかったら動き続ける
- 体調が悪くなったらすぐやめる
- 調子が良いからと言って急に運動量を増やさない
- 焦らず毎日コツコツと
です。
そうはいってもカラダが怠いとなかなかやる気が起きないかもしれません。なにをしていいか思い浮かばないことも多いと思います。
なので私は、起きられるようになった最初の頃は、自分の食事を買い溜めしないで毎日歩きで近所のスーパーに買いにくというタスクを自分に課して運動の代わりにしていました。歩いて10分くらいのスーパーですが毎日の積み重ねでカラダが動くようになってくるのが実感できるため、自信に繋がります。
また、インスタント食品でなくお弁当やお惣菜、フルーツなどを食べることで、毎日少しでも健康的な食事を摂ることができるというメリットもあります。
ただし、この時点だと本当に体調が悪く出かけられない日もあるので、そういうときのためにおかゆなどのレトルト食品などの非常食を常備していました。あんまり普段の食事に近いものだと、つい「これでいっか」と怠け心が出てしまうので、あくまでも体調不良時用としての食料(いつもはあんまり食べないもの)を常備するのがおススメです(笑)。
この時期から少しづつトライアンドエラーを繰り返し、自分のカラダの状態に敏感になる訓練をして、うつ病を再発させない手段のひとつを手に入れるといいと思います。
あともう一点この時期に大切なことは、「出来たこと、よかったことに注目すること」です。
現時点を”ゼロ”とすると、出来たことを数えることはプラスに積み上げることです。逆にできなかったことを数えてしまうと、たとえスタートが”100”だったとしても減る方向にしか行きません。ましてや”ゼロ”からスタートした場合マイナスにしかなりません。
この考え方は、聞いただけだと「当たり前」で簡単のように思えます。
でも実際やってみると私たちのようにうつ病になるような人は見事にできなかっとことを拾い上げ「自分はダメなやつ」だと責めてしまいがちです。
折に触れて、自分が「できたことを数えているか?」振り返って、この考え方をすこしづつ身に着けていくといいと思います。
また、この頃から社会復帰施設(リワークプログラム)について調べ始めるといいと思います。
企業によっては復帰前に参加することを義務付けているところも多いともいますが、提供先によっていろいろ個性があるのでゆっくり自分に合いそうな場所を探しておくと安心感を得られます。
復帰まではまだ時間があるので焦る必要はないと思いますが、体調が良い時を見計らってすこしづつでも調べ始めておくことをおススメします。
特に障害者職業センターがおこなっているリワークプログラムは、無料で利用できるために人気が高く、各都道府県に1~2か所しかないので利用できるまで待たされることが多いです。無理のない範囲で下準備しておけるとスムーズに利用開始できます。
リワークプログラムについては、提供元によって大きく4種類に分けられます。
- 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の障害者職業センターが行っている復職支援プログラム
- クリニック、病院が提供している復職支援プログラム
- 就労移行支援事業所が提供している復職支援プログラム
- 企業内に設置された復職支援センター
わたしはこのうち上から3つの種類の復職支援プログラムを経験したのですが提供するプログラム内容の傾向がそれぞれ異なりました。
理由はそれぞれの成立ちが異なる為なのですが、どの復職支援施設でも本格利用前に見学ができるので、無理なく外出できるようになったら連絡して見学してみるといいと思います。
多くの場合、プログラムの利用には自立支援制度の利用と主治医、会社の許可が必要となります。まずは主治医に復職支援の利用許可を得てから、リワーク施設に問い合わせるといいと思います。
だいぶ良くなったので早く復帰したい、でも不安

だいぶ体調が良くなって動けるようになってくると復帰を急ぎたくなる方もいると思います。
でも少しでも不安に感じることがある場合は、復帰を焦らないで不安の種に対する対策を考えましょう。
例えば、体調についての不安なら、具合が悪くなりつつあるときの兆候をとらえられるようになるために、いろいろログを取ってみるといいと思います。
気温(最高・最低)や天気、湿度とその日の行動や運動量、体調、気分、出来事などをデータ化して、あとで傾向を調べてみると相関がわかったりします。
体調を崩すときの兆候が捉えられるようになってくると、具合が悪くなる回数が減り復帰への自信に繋がります。
また「もし具合が悪くなってしまったら、どうすることで自分は早く回復できるか?」ということを考えることも復帰に対する不安を減らすのに重要です。
もちろん精神面での不安の種についても考える必要があります。
不安要素を取り除けないか考えてみて、取り除けないようであれば対策を講じるべきです。
まずは「何のどんなことが不安なのか?」、具体的に自分の気持ちを一つ残らず紙に書き出します。
他人に見せるわけではないのでどんどん書き出していきます。そうすることで頭を占めていた不安がアウトプットされるため脳の負担が減ります。
ひととおり書き出したら、気分が落ち着いてから不安要素をひとつひとつみていきます。
体調面の時と同じく、「気分を落ちにくくする対策」と「気分が落ちてしまっても早めに回復させる方法」の両方を考えておくといいと思います。
動けるようになったらすぐに復帰しようと焦る気持ちも分かりますが、復帰すると最初のうちは余裕が無く、予想以上に消耗してしまうことも多いです。
余裕をもって復帰して、復帰後にうつ病を再発させない為にも、この時期の復職へ向けた対策は重要です。
そのひとつとして復職支援(リワーク)プログラムへの参加がおすすめなのです。
リワークプログラムでは、毎日の体調の変化を観察する習慣をつける訓練をしたり、その人に合った症状の対処法をスタッフが一緒に考えてくれます。
おなじ病気の仲間と一緒に回復に取り組むことで孤立感や孤独感も減り、苦しいのは自分だけではないと勇気づけられもします。
提供先によっては、スキルアップにつながる様なプログラムもあるので、いろいろ見学して自分に合うところを探すことが重要です。
3か所のリワークプログラムを経験した私は、きちんと自分に合ったプログラムを選ぶことはとても大切だと感じました。焦りやめんどくささなどから適当に選んでしまったこともあったのですが、自分に合うものをみつけると安心感が違います。
そうはいっても地方などでは、なかなか選択肢がないかもしれません。下で紹介する本は、私が通ったリワーク施設が行っているプログラムの一部を本で体験できるようにしたものです。
よかったら、参考にしてみてください。(Amazonページが開きます。)
うつ病休養中の心構え

ここまで、うつ病休職中の過ごし方について解説してきました。
つづいて、その間の心構えについても解説していきたいと思います。
回復は右肩上がりではなく「動ける→倒れる」を繰り返す

残念ながら、うつ病の回復過程は怪我などの回復のように徐々に右肩上がりによくなるというものではありません。
何度も何度も行きつ戻りつしながら、気づくとなんとなく前よりはよくなっているなあという感じです。
この点はうつ病のつらいところですが、しっかり認識して毎日の変化に一喜一憂しないで、週単位とか月単位で振り返って比較するくらいの心構えがいいと思います。
(1週間単位とか月単位とかで平均して考えて、以前より寝込む日が少なくなったとか、無理なく歩ける距離が伸びたとか・・・)
それでも、倒れるとやはり落ち込みます。
特に、体調のよい状態を経験してからドンと悪くなると「やっぱりこのまま一生治らないのでは?」なんて心配になることもあるかと思います。でもほとんどの人がそういう状態を繰り返しながらよくなっていくので、決してあきらめないで「必ずよくなる」と自分に言い聞かせてください。
またちょっと元気になったからといって身体に無理を課したり、反対に具合が悪くなってしまったら直近の自分の行動にその原因を探し求め自分を責めたりしないように気に留めておいてください。
実は私は、何度もそういうことをやってしまっていました。
これが結構大きなストレスになり、回復にも影響してきます。
たとえば私の場合だと、長い期間療養して体調が上向くと体調が悪くて籠っていたときのストレスを晴らすために、つい長い時間外出してしまうことがありました。
そんな感じで外出しているので、テンションがあがって疲労にも気づきにくく、気が付いたときにはもう動けないような状態に陥ることがしばしばありました。
すると、そんな行動を取ってしまった自分を責め、カラダに負荷をかけ過ぎたばかりか、ココロにもさらにストレスを溜めるという悪循環に陥ってしまいました。
今思い返すと、外出する時間を決めておくとか、行動範囲を決めておくなどの対策を取って負荷をコントロールしておけばよかったと思います。
対策は考える必要がありますが、無駄に自分を責めずに

やっちゃったぁ~、こんなこともあるよね・・
とりあえず失敗を繰り返さないような対策を考えよう♪
くらい軽い感じがいいと思います。
自分を責め始めすぎると、負のスパイラルに陥ってしまいます。なるべく気長に深刻になり過ぎずに療養するという意識を持っていた方がいいと思います。
- できなかったことよりもできたことに目を向けること
- 友達を励ますみたいに自分を励ますこと
- 休んでも寄り道してもいいと自分に許可すること
このあたりが重要になってきます。
他人のネガティブな意見は受け止めないこと
休職して休んでいると、自分は「甘えている」だけなのではないか?と感じることもあると思います。または、実際に誰かにそう言われたこともあるかもしれません。
でも、きちんと医師を受診して「うつ病」という診断を受けているのだから、「甘え」ではありません。事実、抑うつ気分があったり、身体が重く体調が悪かったりしているわけですから・・
少し回復してきて、動けるようになると周囲の「甘え」という言葉が気になってくる人も多いのがうつ病です。
実際、私も何度も苦しみました。主治医や看護師さん、相談員の方などやさしく接してくれる人に励まされるほど、逆に休んでいる自分の状態を「甘え」と感じてしまい焦って無理をしていました。
でも焦りや自分を責めることは余計なストレスをかけるだけで、いい結果にはつながりません。
もともとストレスでエネルギーが少なくなっているのに、自らストレスをかけてさらに脳や身体に負担をかけることになります。
周囲の目を気にして「甘えてばかりいられない・・」、「頑張っている姿を見せなければ・・」と思ってしまう気持ちは痛いほどに分かりますが、これは逆効果です。
うつ病は精神論では治りません。冷静な第3者の目をかりて、論理的思考で回復に取り組む必要があります。
栄養バランスをかんがえること
どんなことに対しても食事は大切だと言われるため、軽く見過ごしがちになりますが、うつ病は脳内ホルモンの影響が強いため、ホルモンの原料となるたんぱく質やビタミン、ミネラルは多めにとる必要があります。
一般的な健康診断の血液検査では異常なしと言われていても、必ずしも栄養状態がいいとは言えないということが最近では指摘されています。
考えてみれば、異常値の範囲に入らなくても異常値に近い状態であれば、健康に影響が出てきてもおかしくないということはあきらかですよね。
単身で休養している場合は、自分で料理をするのは大変なことも多いと思うので、あまり手をかけず手軽に食べられるもので積極的に摂取することをおススメします。
たとえば
- チキンサラダ
- ツナ缶
- ゆで卵
- カニカマ
- 牛乳
- ヨーグルト
- チーズ
- ナッツ類
- 果物(包丁を使う必要のないみかん、バナナ、いちご、ブドウ、缶詰)など
私の場合は、温めた牛乳で作ったコーヒー牛乳やバナナミルクを飲むとココロが少しリラックスしてほっこり感じられます。たんぱく質をたくさん摂った次の朝は肌の状態が柔らかくハリのある状態のように感じられます。
ひとによって効果や合うものは変わるとは思いますが、薬に比べると安全ですし手軽で一生摂り続けるものでもあるので、これを機に見直してみるのもよいかと思います。
最近では、うつ病のための栄養や料理の本も多く出版されてきていますので、それらを参考にするのもいいと思います。
うつ病の療養には、とにかく焦らないこと、あきらめないことが重要です。
そして、気楽に気長に休養することが結果的に早い復帰に繋がります。
必ずよくなると信じ、休む前よりもいい人生を手に入れる期間と考えてじっくり療養してください。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。